耳掛け式イヤホン(ATH-EM7)のイヤパッド再修理

投稿 火 4/20 14:50:12 2021 | オーディオ・ビジュアル | hotall




製品の寿命には、いくつかの要因がありますが、その一つに消耗部品の販売終了があります。

6年前にイヤパッドを交換した耳掛け式イヤホンでしたが、またもこれがペシャンコになってしまいました。

もはや、このイヤホンはサポートを終了しており、補修部品も販売されていません。
部材の経年劣化が進み、耳掛け部のゴムは切れて、代わりにゴムホースで代用している始末です。もっとも、このゴムホースの代用は、耳当りが良く、気に入ってはいますが。

すでに17年を経過していますので、十分使い切ったと云えます。
しかし、まだ、音を出すという主要機能は健在ですので、このまま捨てるのも、もったいないような気がするのです。
そこで、なるべく費用を掛けずに、直してみることにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。



ペシャンコになった原因は、パッド内のスポンジ状の樹脂が、融けるようにつぶれてしまったことです。
そこで、この樹脂だけを交換できればと考えました。

ネットで色々調べたところ、この樹脂はモルトフィルターと呼ばれるもので、その通気性から、オーディオ用の他、エアフィルターなどに使われているようです。

元の厚みと網目の細かさのものをネットで購入し、早速、修理を始めました。


まず、イヤパッドを剥がします。

イヤパッドは、台座の樹脂リングと耳当てカバー、そしてモルトフィルターから構成され、両面テープで本体に固定されています。
先がとがっているもので台座ごと剥がします。



モルトフィルターは、前回と同様に、完全に溶けて張り付いています。

残念ながら、片方はカバーが台座から完全に剥がれてしまいました。

これを無水エタノールで取り去ります。

台座からはがれたカバーは両目テープで貼り付けます。



これが、今回購入したモルトフィルターです。

紙に半径14mmの円を描きます。
これを切り抜きます。

切り抜いた紙を型として、両面テープでモルトフィルタに貼り付けます。

型紙に沿ってモルトフィルタを切り抜きます。

切り抜いたモルトフィルタは型紙を外し、台座にはめます。

台座に両面テープを貼り付けます。

これを本体に貼り付けて完成です。

もとのふかふかのイヤパッドに戻りました。
よく見ると、台座から剥がれたカバーを貼り付けた部分が、少しいびつになっていますが、ほとんど気にならない程度に修復することができました。
これで、当分、使い続けられます。

モルトフィルターはウレタン素材であるので、加水分解による劣化は避けられません。数年後には、また、ペシャンコになるでしょう。
余ったモルトフィルターは、次回の修繕に備えて、湿気を避けて保管しておくことにします。

ヘッドホン(BOSE QuietComfort)プラグ・コードの補修

投稿 金 4/16 14:24:43 2021 | オーディオ・ビジュアル | hotall

ケーブルに断線はつきものです。

これまで、いくつものケーブルを直してきました。
その方法は、いつも同じです。
・断線個所を特定し、その個所でケーブルを切断。
・切断した銅線を半田で繫ぎ、ヒシチューブやテーブで保護します。

この修理の欠点は、その手間と見た目が悪くなることです。
やはり、事前に断線を回避する対策をするのが一番です。


我家のヘッドホンのケーブルがコネクタ部分で被覆が剥がれ、中の電線が見えるようになってしまいました。
このままでは、近いうちに断線することは間違いありません。
そこで、今のうちに補修することにしました。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。




一方の手で、剥がれている個所より前の部分をつまみ、もう一方の手で、更に前の部分の被覆を延ばします。
この時、コネクタには触れず、剥がれている個所に負担をかけないよう注意します。

延ばした被覆が戻る前に、素早く、被覆をつまみます。
すると中の電線が見えるようになります。
広がらない場合は、何回か繰返します。
この作業が失敗しても、絶対にコネクタ側を引っ張ってはいけません。
電線が切れてしまいます。

軟質プラスチック用の接着剤を用意します。

プライマーを電線及び周辺の被覆、コネクタ部分に塗ります。

同じく、内部の電線、コネクタの縁、被覆の端に接着剤を塗ります。

ケーブルの前の部分から延ばした被覆をコネクタ側にずらします。
ちょうど、広げた時と逆の要領で行います。
被覆がコネクタに密着したら、元に戻らないように被覆を指でつまんで押さえておきます。
コネクタと被覆のつなぎ目も接着剤を盛り、爪楊枝などを使って整えます。

指を離しても被覆が元に戻らないように、クリップでつまんでおきます。
接着剤が完全に固まるまで待ちます。
これで、補修は完了です。

ケーブルのグラグラはなくなり、しばらくは安心して使えます。
後々の苦労を考えると、壊れる前の対策は大事ですね。

デスクライト(Z-LIGHT Z-973N)のスイッチ故障

投稿 水 4/14 22:06:07 2021 | リビング | hotall




机上作業に灯りは欠かせません。

16年前に購入したデスクライトは、長年、当たり前のように机を照らしていました。
このライト、最近、スイッチを回しても点かないことが増えていました。
バチ、ジジジとスパークが発生している音がするので、恐らく接点に問題があるのだと思っていました。
しかし、何回か回せば点いたので、しばらく放置していました。

ところが、いよいよ、いくら回しても点かなくなり、修理をしなければならなくなったのです。

この文書は個人的なものであり、読者による修理を推奨するものではなく、内容について一切の責任を負いかねます。




スイッチのつまみを外します。

電球カバー裏側のネジを外します。

スイッチ側側面のネジを外し、電球カバーを外します。

背面のネジを外し、ソケットカバーを外します。

スイッチ軸固定ナットを外します。

押さえ金具のネジを外します。

電球ソケットの下にスイッチがあります。

スイッチを分解します。

爪に精密ドライバー(-)を差し込み、カバーを引き出します。
少し隙間が出来れば、指の爪を挟み、同じ面のもう一方の爪を同様に外します。
片面が外れれば、そのまま、引き上げればカバーが外れます。

内部はこのようになっています。

電線は上にスライドすれば、外れるので、スイッチ本体を取り外します。

軸側の接点です。
メッキが剥がれ、錆で盛り上がっています。

ケース側の接点です。
同じようにメッキが剥がれ、錆で盛り上がっています。
これでは、電気は流れません。

紙やすりを小さく切り抜きます。
今回は800番を使いました。

割り箸に切り抜いた紙やすりをテープで貼り付けます。

軸側の接点を磨きます。

ケース側の接点を磨きます。

軸側の接点の錆は取れました。

ケース側の接点の錆も取れました。
しかし、メッキは剥がれた状態なので、いずれ錆びてしまう不安が残ります。

スイッチを組み立てます。



ライト本体も、元通りに組み立てます。
通電し、スイッチを回すと、無事点灯しました。
これで、修理は完了したものと思っていましたが・・・

翌日、頭の片隅に残っていた不安が現実となりました。
スイッチを入れても点灯しないのです。

こんなに早く、不具合が再現してしまうとは、と落胆しましたが、すぐさま、確かめるため、分解してみました。

接点の様子です。

やはり、磨いたはずの接点は黒く汚れており、錆のような付着物も付いています。

取りあえず、再度、紙やすりで磨きます。


抜本的な対策として、メッキが必用です。

簡単なメッキとして半田メッキがあります。
半田はスズが原料なので、スズメッキと同じ効果がありますが、柔らかいため、機械的な耐久性は乏しく、スイッチの接点には向きません。

そこで、他のスイッチから接点部材を移植することにしました。

手元に125V/6Aのプッシュスイッチがあったので、これを利用します。

プッシュスイッチの金属カバーを外します。

中の接点部材を抜き取ります。

部品は樹脂ケースに接着されているので、半田ごてで端子を温めて抜き取りました。

三つの部品が取れました。
色からリン青銅のようです。

この中から使えそうな2つを、更に分割します。
ニッパーで軽く傷を入れて、折り曲げを繰返すと金属部品は切れます。

4つの部材が取れました。

ケース側の接点に、接点部材を乗せ、半田で固定します。

表面に半田がかぶりましたが、強度的に弱い半田メッキが剥がれても、その下には接点部材があるので、問題ないと考えました。

部材で盛り上がったので、やすりで角を滑らかにします。

軸側の接点も同様に、接点部材を取り付けます。

やすりで角を滑らかにします。

ケースに軸を取付て、回してみます。
移植した接点部材の盛り上がりで、すこし引っかかりはありますが、機能しそうです。
再度、組み立てて、テストしてみます。
しかし、点灯しません。

ひょっとして。
電球を別の照明器具に取り付けてみると、点灯しません。
ん?。しばらく頭が混乱しました。
どうやら、昨日点灯してから、一晩で電球が切れてしまったようです。

気を取り直し、電球を購入します。
現在の電球はEFD25EL/22。National製です。
既に製造終了品です。

代替を探しましたが、省エネ電球/蛍光灯タイプは電球部分の太さが合いません。
また、LEDタイプは100型相当のものが見つかりません。

結局ワット数が低いLED電球を購入しました。
LDT8L-G/S/T6。60型相当のPanasonic製です。

元の電球と比較してみます。
太さ長さは問題ないようです。

これを取付け、スイッチを回すと、無事点灯しました。
しばらくON/OFFを繰り返しましたが、問題なさそうです。
明るさも、前の電球が新品だった頃と比較はできませんが、切れる直前の状態より明るく感じるほどで、私には十分です。

結局、わずか一晩で不具合が再発したのは、スイッチの問題か電球の問題かがはっきりしないまま修理は完了しました。
接点移植の効果については、このまましばらく使って、様子を見ようと思います。

ペーパークラフト年賀状(2021)

投稿 水 3/17 16:15:19 2021 | デジタル工作機 | hotall



例年、年末はクリスマス、年越しと世の中は祝賀ムードで盛り上がります。
ところが、今年は世間の雰囲気がまったく異なっていました。

私の場合、年末の行事といえば年賀状作りです。
世間の慌ただしい雰囲気に押されて、作り始めます。
ところが、今年はカレンダーを見て慌てて作業を開始したのです。

ここ数年、年末は3Dプリンタ年賀状の作成が恒例となっていました。
この年賀状、3Dプリンタで作った部品を梱包し、組み立ててもらうものです。
昨年、レーザーカッターを購入したので、今年の年賀状は、これを使ったものにしようと考えていました。

どんな年賀状にするか。

何事も、最初は一から考えなければなりません。
まず、購入したレザーカッターは小出力なもので、カットできる素材は限られています。
そんな制限の中で、年賀状に応用できるものとして、まずはペーパークラフトが浮かびました。
今回は、これにしよう。

来年は、丑年、牛の立体をペーパークラフトにすることにします。
既に、いろいろな牛のペーパークラフトはネット上に存在しますが、やはり、一から設計することにします。

ペーパークラフトは平面を切ったり、折ったり、張り合わせることで実現しますが、基本的に平面の組み合わせなので、対象物をデフォルメする必要があります。
しかし、私にはそのようなセンスはありませんので、すでにデフォルメされた人形をモチーフにすることにしました。

福島の郷土玩具、赤べこは、正月のイメージにピッタリです。
これをペーパークラフトに合わせて造形します。


まずは、立体設計です。
赤べこを、基本、平面だけで表現しなければなりません。
今回は、初めてでもありますので、立方体を基本図形として、なるべく単純な造形とします。
立体の設計は3DCADで行いました。

次に各表面の平面を抽出し、SVGフォーマットで出力します。
これら平面を結合して、展開図を作成します。
平面の境界線で折り曲げると、立体になる訳です。

展開図は、平面なので、すべての面を繋げることはできません。組み立てるときに、分断された境界を貼り合わせる必要があります。
そして、貼り合わせるには、のりしろが必要です。


当初は、糊を使わずに組み立てられるよう、爪を差し込む方式で設計を進めていました。
しかし、実際に出力して組み立ててみると、今回のサイズだと爪が小さく、差し込む作業が容易ではないことに気が付き、この方式を断念しました。

最終的に一般的な糊付け方式にしました。
そして、位置合わせが楽なように、折り合わせて糊付けするようにしました。
爪による貼り合わせ以外にも、角を立体構造にしたり、首を振るように内部から首を出す仕組みを考えていましたが、組み立ての難しさから、簡略化しました。




次に、折線の加工について考えなければなりません。

まずは、よくある折線表記のように破線を考えました。
しかし、実際に破線でカットしてみると、問題があることに気が付きました。

デザイン上、カット線が表に出ることは避けたいので、表面に達しない程度の浅いカットを試してみました。
ところが、実際に折ってみると、方向によって、折りにくい向きがあるのです。
ネットで調べてみると、これが"紙の目"によることが分かりました。
このサイトに詳しく書かれています。

破線カットの幅や深さを増してみると、折りやすくはなるものの、カットは貫通させるしかなく、表面に折線が現れるだけでなく、裂けやすくなってしまったのです。




最終的に、破線は諦め、直線のハーフカットにすることにしました。

後は、折りやすく切れにくい深さを探ります。

カットはすべて切り抜くのではなく、一部は繋げておき、プラモデルのように組み立て時に切り外すようにしておきます。
そして、3Dプリンタ年賀状の時と同じように、年賀状自体を1枚のシートを折り曲げて作り、ペーパークラフトもその一部として組み入れます。


赤べこのデザインをプリンターで印刷し、レーザーカッターで切り抜きます。

はがきサイズに折り曲げて完成です。


コロナ禍で、年賀状を自粛する向きもあります。
この状況に新年を祝う気持ちも削がれてしまいますが、この年賀状が巣ごもり中の暇つぶしにでもなればと、投函しました。
早くコロナが終息しますように。



下表は今回設計したデータの一覧です。
印刷データおよびカットデータをアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
印刷データ(pdf)1ダウンロード
カットデータ(svg)5

厚紙(0.22mm)を切断する際のレーザーカッターの設定は以下の通りです。
(FABOOL-Laser Mini 3.5W)

項目速度出力回数
切断550mm/min100%1回
折線1800mm/min100%1回

段ボールPCの作成

投稿 月 12/ 7 20:00:57 2020 | デジタル工作機 | hotall

取りあえずと考えれば、身の回りの素材や部品だけで、必要十分なものは作れるものです。

私の部屋には、まだ使えそうで、捨てられずに、しまっているものがたくさんあります。
これらを見る度に、その活用方法見つけられず、どんどん劣化していくのを、ただ眺めるしかありません。
それでいて、いざ使える機会がくると、その時の最良のものが欲しくなり、新しく買ってしまうのです。

インターネット、スマートフォンの普及に伴い、ネット通販がすっかり生活に浸透しました。加えて、このコロナ禍で、ますます自宅で買い物をする機会が増えました。

届けられた商品を梱包している段ボール、届けられた時点で、その役割を終えます。
収納用、次回の送付用にいくつかはとっておくものの、ほとんどは古紙として廃棄します。
これら段ボールも、使えるけど使わない、身の回りで持て余しているものの一つです。




妻が10年以上使い続けたノートパソコンが、いよいよ動作が怪しくなり、廃棄することになりました。
スマホやタブレットを使うことが多くなったといっても、パソコンでしかできないこともあります。
新しいパソコンを購入するまで、取りあえずの機器が欲しいと聞き、押し入れに眠っているマザーボードを思い出しました。

このマザーボード、以前、ホームサーバー用PCが壊れた時、その原因だと思って買い替えたマザーボードが、実は別の原因だと分かり、余ってしまったもので、捨てられずにしまい込んでいました。

その他にも、12V電源や、PC用のDC/DCコンバータなど、眠っている部品をかき集めてみました。
1台のPCを組み立てるのに必要な部品の大半は集まりましたが、最終的にストレージ、ディスプレイ、ケースが不足していました。

前2つは買ってもらうことにしましたが、ケースは無くても動きます。
費用対効果という意味で、なるべく安く抑え、その分、ストレージやディスプレイに回した方が得策だと考えました。

身近なものでケースを作れないか。

手元にあるものは、3Dプリンタ、ネジ類、そして最近購入したレーザーカッター。
3Dプリンタでは、小さな部品は作れますが、大きなものは作れません。
そこで、レーザーカッターで板素材をカットして側を作ることにしました。

その素材をどうするか。
部屋を見渡して、まず、目に入ってきたのは段ボールでした。
さすがに、そんな華奢なものは使えないのでは、そもそも、チープすぎではないかと思いましたが、ものは試しと、妻の承諾のもと、使ってみることにしたのです。


この文書は個人的なものであり、内容について一切の責任を負いかねます。



段ボールはa〇〇〇〇nから送られた梱包材で、その内側に入っている比較的きれいな、商品を固定しているものを使います。
レーザーカッターで切断し、強度を増すため、二枚重ねに木工ボンドで張り合わせます。
六つの面の固定は、3Dプリンタで作った部品と皿ネジを使います。3Dプリンタで出力後、皿モミとタップを切ります。

完成しました。

正面の様子です。

背面の様子です。

内部の様子です。

LEDはボンドで固定、スイッチは3Dプリンタで作った部品で固定しました。

最終的に縦置きに据え付けました。
よく見れば、段ボール感は否めませんが、ぐらつきもなく、十分安定しており、実用上は全く問題ありません。

取りあえずと考えれば、ことを始める敷居は低くなり、一歩踏み出すことができます。
そして、最良を追い求めなければ、使えずにしまい込んだものを棚卸しして、それらを活用できるのだと実感しました。



下表は今回設計・使用した部品の一覧です。
3Dデータ(STLファイル)もアップしましたので、個人的な利用の範囲で、自由にお使いください。
項目数量入手
側板固定具(a,b,c)3-1-4ダウンロード
スイッチ固定具(a,b,c)1
皿ネジ(3mm)4ネット
LED(3mm)2
押しボタンスイッチ フジソク プッシュスイッチ BP1F1
マザーボード asrock J3710-ITX1
メモリ Crucial D3N1600CM-4G2
12電源 イーター電機工業 スイッチング電源 ERD12SA1
DC/DCコンバーター:picoPSU-901
SSD:Crucial SSD 500GB MX5001

段ボールを切断する際のレーザーカッターの設定は以下の通りです。
(FABOOL-Laser Mini 3.5W)

項目
速度600mm/min
出力100%
回数5回
«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 17 | 18 | 19 || Next»